全国の各自治体に寄付をすることで返礼品が貰える嬉しい制度である「ふるさと納税」。もともとは都会に暮らす人が出身地の自治体を自分の意思で応援できないか。というところから始まりました。その後多くの議論を重ねてできた寄付制度になります。

今回の記事では、ふるさと納税のしくみや節税のしくみについて解説していきます。

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ふるさと納税とはどんな制度なのかを改めて解説

ふるさと納税の名前は聞いたことあるけど、いまだに制度の仕組みを理解していない方は多いのではないでしょうか。導入されたのは2008年。さまざまな議論を経て誕生しました。

自分で各自治体に寄付をすることによって、返礼品が貰えるのが非常に魅力的な制度になります。受け取れる返礼品は数多くあり、お米やトイレットペーパーなどの日常で必ず使うものから、お肉や果物などの食べ物。お水やお酒など、多種多様なものが貰えるため、とてもお得になります。

寄付をした金額分が所得税、住民税から控除されることで注目を集め、2019年には約2333万件、納税受入額は約4875億円を超えています。この数字からもふるさと納税が人気を集めているのが分かります。

では、ふるさと納税のしくみとメリットについてみていきましょう。

ふるさと納税誕生の流れ

全国の都道府県、市区町村の財政は、その自治体の税収でまかなわれています。なので地方の小さな自治体の多くは厳しい財政をしいられている状況なのです。そんな中でも、子育てや教育、医療などの施策をおろそかにはできません。

こういった地域で育った若者たちが大人になり、都会へ就職をすると自治体には、税収が入らなくなってしまいます。要するに都会の税収ばかりが増え、地方の税収は減っていくことになるわけです。

生まれ育った地元を離れた若者たちも、育った場所は宝物でしょうから貢献したいという思いがあります。こういった理由から生まれたのがふるさと納税です。ややこしいですが、住民税の納付先が変更されるわけではなく、寄付にあたります。寄付先は自分の出身地に限らず、日本全国の自治体にできるしくみが、ふるさと納税なのです。

寄付金の使い道を指定できることも

多くの自治体では、寄付金の使い道を寄付した人が指定できる選択肢を設けています。例えば、子育てや福祉、教育、産業振興のほかに、NPOへの支援など寄付金を使ってほしい先があれば選択できるしくみになっています。

自分が寄付したお金が何に使われているのか気になる方も多いでしょう。ここが明確になるのがふるさと納税の優れた点です。

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ふるさと納税のメリット

ふるさと納税の大きなメリットは2つあります。

  • 寄付した分は税金の控除対象になる
  • 寄付した自治体から返礼品がもらえる

それぞれについて詳しく解説していきます。

寄付した分は税金の控除対象になる

一つ目のメリットとしては、寄付した分は税金の控除対象になるということです。ふるさと納税は地方自治体に寄付するわけですので、所得税法上は所得控除の、住民税法上は税額控除が受けられます。

ふるさと納税の場合、寄附金額から2000円を引いた残金が所得税、住民税から控除されます。ただし注意点として控除額は年収や家族構成によって上限が決められているので、事前にシミュレーションしておく必要があります。

寄付した自治体から返礼品がもらえる

二つ目のメリットとしては、寄付した自治体から返礼品がもらえることです。その土地の名産品などが寄付のお礼として受け取れます。返礼品の種類はさまざまですので、「ふるさとチョイス」「さとふる」「楽天ふるさと納税」「ふるなび」などのサイトから気になる返礼品を探してみましょう。

ふるさと納税の利用方法

さまざまな返礼品が貰える嬉しい制度であるふるさと納税。どのように利用するのかというと、さきほど紹介したサイトなどから申請するのがお手軽です。どのサイトも使いやすく、クレジットカードでも支払いが可能ですので、とても便利です。

クレジットカードを使用する場合は、カード会社が用意しているポータルサイトを経由し、ふるさと納税サイトを利用することで、カード利用時のポイントが数倍になる特典がある場合があります。

例えば楽天カードの場合、楽天ふるさと納税で寄付するとポイントが3%〜最大30%還元されます。自分の持っているクレジットカードがふるさと納税でお得になるかを一度確認してみるのがよいでしょう。仮になにもお得な特典がなかったとしたら、楽天カードなどのお得になるクレジットカード作成することをおすすめします。

ふるさと納税の寄附金控除のしくみ

ふるさと納税で寄付した金額は、寄附金控除の対象になります。ふるさと納税のサイトにある「控除額シミュレーター」では、ほとんどが給与所得者を対象としています。なので、自営業者やフリーランスの方は、正しい金額を算出できないことがあるため、計算方法を確認しておくことが必要になってきます。

ふるさと納税の控除額を計算する方法

ふるさと納税の寄附金控除は、所得税と住民税のそれぞれから控除されます。住民税に関しては、寄附金控除の基本分にプラスして、ふるさと納税にのみ適用される得例分も控除されます。

それぞれの計算方法としては、

  • 所得税からの控除額→ふるさと納税額−2,000円×所得税率
  • 住民税からの控除額(基本分)→ふるさと納税額−2,000円×10%
  • 住民税からの控除額(特例分)→ふるさと納税額−2,000円×100%−10%(基本分)−所得税率)

で算出できます。

例えば所得税率が10%の人が5万円のふるさと納税をした場合、上記の計算式に当てはめると、

  • 50,000円−2,000円×10%=4,800円
  • 50,000円−2,000円×10%=4,800円
  • 50,000円−2,000円×(100%−10%−10%)=38,400円

となり合計で48,000円控除さます。

このように節税の面でも大きなメリットがあるふるさと納税ですが、注意するべき点があります。

ふるさと納税の注意点としては、

  • 2037年分までは所得税に復興特別所得税が加算されること
  • 住民税からの控除(特例分)は住民税所得割額(課税所得の約10%)の20%を上限とすること
  • 年収や家族構成によって年間の控除上限額が定められていること

があります。上記の注意点を把握していない場合、控除額より寄付しすぎてしまう可能性がありますので、しっかりと計算する必要があります。正確な控除額を知りたい場合は、所在地の役所に問い合わせてみてください。

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寄附金控除を受ける手続きの流れ

ふるさと納税をして寄付金の控除を受ける流れには2つの方法があります。

一つ目は確定申告をする方法です。これは主に自営業やフリーランスなど、確定申告をする人向けの方法になります。

二つ目はワンストップ特例制度を使う方法です。それぞれの方法について解説していきます。

ふるさと納税の税控除を確定申告で受ける場合

ふるさと納税の税控除を確定申告で受ける場合は、寄付した翌年の3月15日までに、居住地の税務署で確定申告をします。確定申告をすることで、

  • 所得税分の控除額はその年の所得税から差し引かれる
  • 住民税分の控除額は翌年度に支払うべき住民税から差し引かれる

といった流れで控除されます。なお確定申告の際には、ふるさと納税の事実を証明できる寄付した自治体が発行する寄付金の受領書や証明書、ふるさと納税専用の払い込み控えなどが必要になりますので、大切に保管しておきましょう。

ふるさと納税の税控除をワンストップ特例制度で受ける場合

ふるさと納税の税控除をワンストップ特例制度で受ける場合は、寄付先の自治体にワンストップ特例申請書を提出することで、全額が住民税から控除されます。

ワンストップ特例申請書は、自治体から後日郵送で送られてきます。総務省や自治体のウェブサイトにも申請書がありますので、ダウンロードして利用しても構いません。

忙しい会社員にはとても便利なワンストップ特例制度ですが、注意すべき点が3つあります。

  • 寄付先の自治体が5つ以内
  • 申請締切は翌年の1月10日
  • 定申告との併用はできない

この3つの点を充分理解し、ワンストップ特例制度を利用するようにしてください。

「寄付先の自治体が5つ以内」については、同じ自治体に2回、3回と寄付することは可能です。「申請締切は翌年の1月10日」については、年末ぎりぎりにふるさと納税をしてしまうと、申請が締め切りに間に合わなくなる恐れが出てきますので、締め切り日までの余裕を持って行うのがよいでしょう。

「確定申告との併用はできない」については、ワンストップ特例制度で申請したあとに確定申告でも申請してしまうと、ワンストップ特例制度での申請分はなかったものなります。確定申告分が優先される形になります。

よくあるパターンとしては、ワンストップ特例制度の期日に間に合わなかったことで、その分だけを確定申告しようと考えるというもの。ワンストップ特例制度で都度申請をしてきた場合、この誤解により確定申告分以外はなかったものとされてしまいます。その場合改めてすべての寄付分の確定申告をしなければいけない手間が発生しますので、充分に注意しましょう。

ふるさと納税を活用する方は増加傾向にあるものの、まだまだ制度のしくみすら分かってない人もいます。今回の記事を通じて少しでもふるさと納税に興味を持って頂ければ嬉しいです。寄付する側、寄付される側のお互いにメリットがある制度ですので活用しないのはもったいないです。

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