
近年、老後資金の備えた資産形成のについて話題になります。有利に資金を積み立ててられる方法の一つとして、注目されているのが、iDeCo(個人型確定拠出年金)です。iDeCoはうまく活用することで節税効果が凄く、生活費に余裕がある方はぜひ検討したい制度です。
しかしiDeCoのメリットを最大限に活用する為には、いくつか注意点があります。資金の引き出し方を誤ってしまうと、課税されてしまうこともあります。
今回はiDeCoのデメリットについて解説し、有効に活用するための方法や注意点について考えてみたいと思います。
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iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)ってどんな制度?
まずiDeCoとはどんな制度なのか紹介しておきます。
- 所得税・住民税が非課税
- 運用利益が非課税
- 一時金の受け取りは1500万円まで非課税
iDeCoは愛称であり、正式名は「個人型確定拠出年金」と言います。加入は任意であり、自分で運用方法を選べる私的年金です。
最大のメリットは、掛け金が全額所得控除され、運用利益が非課税であり、給付を受け取る際も控除対象になるなど、税制優遇処置があることです。税金がかからないことで、他の投資よりも多く投資に資金を回すことができるます。
例えば会社員で年収500万円の場合、毎月の掛金の上限は23,000円となり、節税効果は年間43,000円が目安となります。ただし節税効果は個人の条件によって変わってきますので、iDeCoを始める前にシミュレーションはしておいた方が良いでしょう。
また国民年金や厚生年金と違い、自分で運用方法を選べる為、積極的に老後資金を蓄えられることもメリットです。
iDeCoを取りあるかっているネット証券会社は、
加入・移換時の手数料 | 投資信託 | サポート | |
SBI証券 | 2,829円 | 83本 | おすすめの運用商品を選んでくれるロボアドバイザー |
楽天証券 | 2,829円 | 32本 | 充実した無料セミナーやスタートガイド |
マネックス証券 | 2,829円 | 27本 | 土曜日も受付してくれるiDeCo専門スタッフ |
松井証券 | 2,829円 | 40本 | 電話やメールで投資初心者を優しくサポート |
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iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)のデメリット
先程はiDeCoのメリットを紹介しましたが、もちろんデメリットもあります。これから紹介するデメリットをしっかり理解しておかないと、無駄な損失をだしてしまう恐れがあります。ここからiDeCoのデメリット7選を紹介していきます。
iDeCoのデメリット①:原則60歳まで引き出すことができない
iDeCoの目的は老後資金を作ること。そのため原則として60歳まで掛け金や運用益を引き出すことはできません。
定期預金やつみたてNISAの場合、老後資金として貯めていたとしても、大きな出費が発生してしまった時に、解約して使うことができます。ですがiDeCoの場合は原則60歳まで引き出すことができないため、勤務先を退職したとしても原則60歳までは継続していかなければなりません。
場合によってはiDeCoを脱退し、一時金を受け取ることができるケースもありますが、いくつか条件があります。
- 国民年金保険料の滞納を免除されている
- 通算拠出期間が3年以下
- 個別管理資産額が25万円以下
これらの条件がクリアできていれば一時金を受け取ることができます。考え方としては、よほどの場合でない限り60歳まで引き出せないと思っていた方がいいでしょう。
したがって60歳までに大きな支出が発生する可能性がある場合や、ある程度の蓄えがない場合、iDeCoでの資産運用はやめておいた方がいいかもしれません。
iDeCoのデメリット②:上限金額が決まっている
iDeCoでは毎月掛け金を支払っていくわけですが、職業などによって上限が決まっています。一例をあげておきますと、
- 自営業の場合→月額68,000円
- 会社員で企業年金がない場合→月額23,000円
- 企業型DCに加入している場合→月額20,000円
ですので、いくら資金に余裕があり月額50,000円や100,000円を掛けていきたいと思っていてもできないということです。あくまで所得控除の対象はそれぞれの上限額までになります。投資する上でこの金額を少ないと感じる方は多いかもしれません。
iDeCoのデメリット③:元本割れのリスクと投資の知識が必要
iDeCoは掛け金を運用するための金融商品を自分で選択していきます。投資であるため元本割れリスクは当然あります。
中には元本保証の金融商品もありますすが、これだとローリス・クローリターンでの運用となってしまい資産を大きく増やすことはきません。ハイリスク・ハイリターンの商品もうまく組み合わせて運用していく必要があります。こういった考えを分散投資といいます。
どの金融商品を選ぶかは自分自身の判断となり、利益がでるか、元本割れしてしまうかは、商品選ぶが重要となってきます。そのためある程度は自分自身で投資の知識を身に受けておくことをオススメします。
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iDeCoのデメリット④:手続きが複雑
iDeCoは自分で金融機関を選び、口座開設し、運用する金融商品を選ばなくてはいけません。個人で行う手続きが多く、この段階で挫折してしまう可能性があることもデメリットになります。
厚生年金や企業年金の場合、掛け金は給与から天引きされるため、自分で行う手続きはほとんどありません。しかしiDeCoの場合はどの金融機関で口座開設をするのかを自分できめる必要があり、それらの情報を集めるところから始まります。自由度が高い分、自分で行う手続きが多くなり、日々の仕事で忙しい人にとっては、かなりの負担が予測されます。
iDeCoのデメリット⑤:手数料と維持費がかかる
これまで紹介してきた通り、iDeCoは税制優遇があり、お得というイメージが印象的ですが、手数料や維持費の負担があります。
負担として掛かる金額は、
- 口座開設する際の加入時手数料2,777円→iDeCoを管理している国民年金基金連合会に支払う金額であり、どこの金融機関で口座開設しても必要
- 毎月167円の手数料→事務委託をしている金融機関に支払う手数料
ネット証券では、加入時の手数料や口座管理手数料が無料としているところもありますが、これはその会社が独自で設定している手数料が無料という意味ですので、注意したいところです。
また銀行などでは、毎月の口座管理手数料や加入時手数料に、各自で設定した手数料が上乗せされている場合があり、一定の条件を満たすことを条件に無料とする場合もあります。
手数料は金融機関によって異なり、初年度は5,000円から10,000円程度、2年目以降は2,000円から7,000円程度がかかります。したがって元本割れが保証されているローリスク・ローリターンの商品で運用をしてしまうと、手数料が利回りを上回ってしまう恐れがあるので注意すべき点です。
iDeCoのデメリット⑥:誰でも加入できるわけではない
iDeCoは誰でも加入できるというわけではありません。条件によっては加入できない人もいます。加入できない条件としては、
- 国民年金保険料を支払っていない人
- 60歳以上の人
- 海外在住の人
- 勤務先の企業型DCの規約でiDeCo加入が認められていない人
- 農業者年金に加入している人
特に注意したいのが会社員の海外転勤や企業型DCの規約です。海外転勤で長期間日本を離れなくてはいけない場合、iDeCoを継続することができなくなる恐れがあります。ですので海外転勤の予定がある場合は、加入している金融機関に相談しておいた方がいいです。また勤務先の企業型DCの規約については、加入前に確認することが必要でしょう。
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iDeCoのデメリット⑥:受け取り方で課税されるケースがある
iDeCoで最も注意すべき点は、受け取り方によって課税されてしまうケースがあることです。
iDeCoで資産を受け取る方法には、
- 70歳までの一時金として一括で受け取る
- 年金で受け取る
- 一時金と年金を併用して受け取る
といった3つの方法があります。
課税されてしまう受け取り方の一つ目は、退職金とともにiDeCoでの積立額を一時金で受け取る場合です。
iDeCoの一時金に対する退職所得控除額は、退職金の退職所得控除と同じ計算式で算出されます。計算式は勤続年数が20年を超えるかどうかで異なってきます。
- 勤続年数(iDeCoの一時金の場合は掛金の拠出年数)が20年以下の場合
- 40万円×勤続年数
- 例→40万円円×20年=800万円nが控除額となります
- 勤続年数(iDeCoの一時金の場合は掛金の拠出年数)が20年以上の場合
- 800万+70万×(勤続年数-20年)
- 例→800万円+70万円×5年(勤続年数が25年の場合)=1150万円が控除額となります
つまり20年の場合は800万円、25年の場合は1150万円を超えた分にだけ税金がかかることになります。
ここで注意が必要なのは、控除額は退職金とiDeCoの一時金が合算された額に運用されるとう点です。例えば控除額が1000万円で、退職金とiDeCoの一時金がそれぞれ1000万円だった場合、1000万円は課税されてしまうということです。
ですので退職金が大金になる場合は、なるべくiDeCoを一時金で受け取らない方がいいかもしれません。
課税されてしまう受け取り方の二つ目は年金で受け取る場合です。年金で受け取る場合、公的年金の受給額と合算して、
- 65歳未満の場合は年間70万円
- 65歳以上の場合は年間120万円
までであれば課税されません。
これらの条件により、厚生年金の支給額が高い場合は、iDeCoを年金として受けとてってしまうと課税対象になるかもしれません。これを回避するためには、公的年金を受取る前の60歳から64歳までの間にiDeCoを年金として受け取る方法があります。
他に、一時金と年金を併用して受け取ることで、額を調整する方法もあります。しかしこれは金融機関によって併用で受け取ることができない場合もありますので、事前に調べておく必要があります。
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iDeCoがデメリットと感じたらNISAやつみたてNISAという選択肢も
ここまでiDeCoの税制優遇やデメリットについて解説してきたわけですが、有利な方法で資金運用するには使い勝手が悪い面があります。資産運用の目的が老後資産以外の場合は、NISAやつみたてNISAでの運用の方が気軽にできるかもしれません。
NISAやつみたてNISAにも税制優遇があります。NISAの場合、投資した額は所得控除の対象にはなりませんが、運用益は非課税になります。したがって再投資に回すなどさまざまな目的で使うことが可能になります。
またiDeCoと違い、いつでも解約できるため、もし急にお金が必要になった場合でも柔軟に内応することができます。
まずは何のために資産運用するのかを考え、その上でiDeCoとNISAのどちらが自分に適しているを決めましょう。
つみたてNISAについては、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
つみたてNISAで資産運用してますか?つみたてNISAは年間40万円まで売買で得た利益が非課税で運用できる制度です。 投資ができる期間は最長で20年間と決まっており、40万円を20年間の最大800万円までを非課税で運用で …
iDeCoは制度改正でメリットが大きくなる
iDeCoは2018年に制度改正が行われました。拠出額の変更がしやすくなったことと年単位での拠出となったことが大きな変更点でしょう。
改正前は、拠出額を一度決めると毎月同じ額を必ず拠出しなくてはいけませんでした。拠出額の変更は毎年3月頃の年1回だけで、仮に積み立てが困難になった場合でも、柔軟に変更することができませんでした。
しかし改正により、毎月定額で拠出している人は12月から翌年の11月までの間で年1回のみ変更可能となりました。
また月ごとに拠出額を指定することがきるようになり、例えばボーナス月にまとめて掛け金を拠出するといった設定が可能になりました。
つまり、毎年3月ごろの年1回だけの金額変更が、12月から翌年11月までの間で1回のみ金額変更になったこと。
年間拠出になったことで、毎月の掛け金を拠出する形だけでなく、ボーナス月のみまとめて掛け金を拠出するということも可能になったということです。
今回の記事を参考にして、iDeCoを活用すべきかを検討し老後に向けて資産形成してみてはいかがでしょうか。
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